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大手ECサイトと言えば、楽天・Amazon・ヤフーショッピングだが、Amazonと楽天・ヤフーではビジネスモデルがかなり異なる。
Amazonはヤマダデンキやビックカメラのようにメーカーから直接商品を仕入れて売る「直販型」、楽天・ヤフーショッピングはイオンモールのようにユニクロやABCマートといった専門店に軒を貸しているだけで、自身は商品の在庫を持たない「ショッピングモール型」である。
Amazonでも「モール型」のサービスを提供しており、外部の業者でも出品が可能だが、楽天・ヤフーショッピングでの出品と同じ感覚で出品すると、後々痛い目に合う。
自身の経験を元に、Amazonに出品することのリスクをここで記したい。
Amazonは「あいのり出品」という形式をとっており、同じJANコード・ASIN(Amazon独自のコードで商品登録後に発行される)に複数の業者が登録する。
JANコード・ASINがない場合、「ブランド登録」を行うことで、出品が可能となる。
この仕組みにより、楽天・ヤフーショッピングのよう同じ商品のページが出品者の数だけ存在するということがなくなる。
Amazonにとっては自社の販売ページに他の出品者を集約でき、利用者にとっては同じページで価格を比較しやすいというメリットがあるが、出品者にとってはデメリットがかなり大きい。
まず、価格が比較されやすいので最安値にしないと売れない。また、「あいのり」先の商品情報が間違っていると、消費者がその情報を信じて購入した際に、クレームや返品を受ける。
「あいのり」しても最安値でないと売れにくいし、売れたとしてもクレームや返品のリスクがある。さらに「あいのり」先の商品のメーカーと直接契約がない場合、メーカーから「偽造品」扱いされてAmazonにクレームが入り、Amazonから「知的財産の侵害」なる警告メールが届く。ここで、メーカーとの契約関係を示す書類の提示ができないと、アカウントの健全性スコアが大幅にダウンする。この健全性スコアは1000点満点だが、運営者(筆者)の場合は常に200点辺りで低迷しており、どんなに真面目に受注・出荷作業を行っても、ほとんど上がることはない。たまに2点ぐらい上がるが、何か警告があると、いともたやすく10点~20点ダウンするようになっている。
では、「あいのり」ではなく、「ブランド登録」を行って、自社が商品を登録すれば安全かというと、これが「あいのり」よりはるかに大きなリスクをはらむ。
出品者と一言に言っても、製造業者(メーカー)、卸業者、主にメーカーから入れる小売業者、主に卸から入れる小売業者と様々に業態があるが、もっともリスクがあるのは、主に卸から入れる小売業者がAmazonで出品するケースである。
小売業者は、卸から仕入れて販売することが多いため、メーカー名は正しいメーカー名で登録しても、ブランド名を卸にしてしまうことがある(※現在はそのようなブランド登録は出来ないようだが、前は出来ていた)。
ブランド登録が許可されると、卸のブランドで大量の商品ページ作成が可能となる。
「あいのり」業者がいないため、ブルーオーシャンである(※ブルーオーシャンということはAmazonにとっても多くの販売手数料が入ることを意味する)。
Amazonは集客力があるため、注文が大量に舞い込むことがある。月の売り上げが何百万円となり、Amazonに留保される売上金も積みあがっていく。
嬉々として受注・出荷業務に勤しむある日、「必要なアクション:出品が停止されるリスクがあります」という不穏なタイトルのメールが飛び込んでくる。読むと、知的財産の侵害により、出品が停止されるリスクがあるという。要は、本来のブランドとは異なるブランド名で商品を登録すると、Amazonのポリシーに抵触するということだ。「商標ロゴの無許可使用により、出品停止される可能性がある商品」という件名の警告もあり、こちらは卸のブランド名で出品していた商品の写真にメーカーのロゴが写り込んでいるという指摘。
アカウントの健全性スコアは右肩下がりに下がっていく。違反を繰り返す度に低下スコアは大きくなり、一気に20点ダウンなんてことも。
Amazonからの違反警告メールだけでなく、メーカーによる知的財産の侵害の申告も入ってくる。「お知らせ:ポリシー警告」という一見なんてこともないタイトルだが、書かれている内容は、「権利者の商標を侵害している可能性があるという申し立てを権利者から受けた」という穏やかでない内容。この通知が来ると、メーカーとの契約関係を示す書類(仕入れ伝票・請求書・納品書等)を示す必要があるが、卸経由で仕入れているので、そんなものはあるわけがない。正規の代理店(卸)から仕入れているなどという言い訳は一切通用しないのである。
卸に依頼して、メーカーの担当者に申告の取り下げを依頼するしか手段がないが、取下げが行われることはまれである。
出店者はなす術なく、アカウントの健全性ページからペナルティが消えるのを180日間も待たなければならないのである。
こうして、アカウントの健全性は、下降の一途をたどり、ついには100点以下に。
赤い表示で「危険」になる。
そして、「緊急:Amazon出品用アカウント停止の恐れについて」というメールが多くの迷惑メールに交じって静かに緊急警報を発しているのを発見する。
「この措置をとったのは、出品用アカウントに関連する未対応のポリシー違反があり、これらの違反により、アカウント健全性評価が一時停止の基準値を下回ったためです。Amazonのポリシーを順守していることを確認するのは出品者の義務です。詳細については、次のページをご覧ください。https://sellercentral.amazon.co.jp/help/hub/reference/G200205250」
アカウントの健全性ページに行くと、なんとそこには「健全性スコア0点」の文字。
アカウントヘルスサーポートに電話するよう指示されていたので、電話すると、「さんきゅーふぉーこーりんぐあまぞんあかうんとへるすさぽーとあうああかうんとすぺしゃりすとうぃるあしすとゆーしょーとりー」等という日本人を完全に小ばかにしたようなジャパニーズイングリッシュのアナウンスが流れた後、担当者が出て、アカウントが停止されると、売上金が留保され、停止から2か月後にAmazonに入金申請を行う必要があると言う。その間も月額の利用料がかかるという、最早悪徳業者顔負けの手口。
Amazonに入金申請する際は、どれだけ腹立たしく屈辱的なやり取りがAmazonとの間で行われるのだろうか?考えただけではらわたが煮えくり返りそうである。
アカウント停止を回避する手段として、とりあえずポリシー違反の商品を削除する等教示され、それに粛々と従うが、恨みがましい気分がふつふつとわいてくるのを抑えられない。
最終的には、卸の名称をブランド名として登録した商品も大量に削除し、警告のメールが来ないようにしたが、当然注文もぱったり来なくなった。
こうして、数年間売り上げを伸ばしてきたAmazonでの販売は、ある時突然終焉を迎えたわけである。
チズホルムの第一法則「上手くいっているときは何かがおかしくなっている」
また別のリスクとして、Amazonが勝手にカテゴリーを変更し、思わぬ高額な手数料が課されることがある。
Amazonでは商品登録カテゴリーごとに手数料が決められているが、手数料が10%のドラッグストアカテゴリーに登録していたはずが、いつの間にか工具/DIY カテゴリに変更され、知らぬ間に15%も手数料がとられていることがある。少額な商品なら打撃は少ないが高額商品になると数万円の赤字で販売していたことが判明し愕然とする。Amazonに苦情を言っても無駄なのは明らかで、泣き寝入りしかない。それどころかAmazonの方から間違ったカテゴリーに登録するのはポリシー違反などという警告が届き、「改善書」の提出が求められる。何度改善書を提出しても、定型文の冷徹な却下メールが届くばかりで、却下されるごとにアカウントの健全性スコアが光の速さで低下する。まったく横暴も甚だしい。出品者をバカにするのもたいがいにしてもらいたい。
「価格の誤設定に対処し、停止された出品情報を回復する」というタイトルのメールも毎日届き、価格が高/低すぎるので、訂正しないと販売ページに表示しないと言う。自由な価格競争を妨げることを平気でやってのけるのである。
経済産業省や公正取引委員会はAmazonの横暴に対して、何らアクションをとる気配がない。経済産業省は「透明化法セミナー ~アマゾンジャパン、楽天グループ、LINEヤフーが規約変更について解説~」なるセミナーを開催していたが、単に大手ECサイトの担当者が規約変更の概要を発表するだけ。経済産業省の担当者はAmazonを「Amazon様」などと「様」付けの低姿勢で、全然威厳も貫禄もない。経済産業省にとってAmazonはAmazon様様であり、小売業者の衆はAmazon様様が規約を変更なされるので、謹んで拝聴しなさい、質問は受け付けません、ということである。
以上、Amazonはメーカーやプライベートブランドを持つ卸向けのECプラットフォームであり、小売業者にとってはリスクが極めて大きいので、出品はおすすめしない。取引関係のないメーカーのブランド名で「ブランド登録」すると、いずれメーカーから知的財産の侵害のクレームが入るし、「あいのり」してもメーカーと直接取引がないと「偽造品」のクレームが入る。商品登録自体がリスクなのである。下手すると、アカウント停止で売上金の数百万円が数か月間留保され、いつ振込されるかも分からない不安と絶望の日々を過ごすことになる。Amazonは出店者から出店料と販売手数料を徴収しているが、そんなものはメーカーとの直接取引で得られる利益に比べたらごくわずかにすぎないのだろう。Amazonにとってはメーカーや消費者から信頼を獲得するためのブランドの保護こそが第一であり、それを侵すものはいかに売り上げを上げる出品者であっても排除の対象なのである。特にAmazonと同じ小売業者がAmazonの土俵で勝負を挑もうとすれば、即座に張り倒されるか、あるいは引き落としで倒されるのが関の山である。Amazonの出店者はAmazon.co.jpの客寄せパンダであり、売れ筋商品があれば、Amazonがすかさず自社の倉庫に仕入れて、最安値で販売し、カートボックスを獲得する等、お手の物だろう。
販売者もAmazonの利用者であり、それを蔑ろにすることは顧客を蔑ろにすることと同義である。販売者もAmazonプライムの利用者だし、ネットの業者ならAWSの契約をしている場合もある。アンチAmazonになった販売者は競合の楽天やヤフーショッピング、マイクロソフトのAzureに流れるだろう。Amazonの人を小ばかにした対応でアンチAmazonになった出品者は多分大勢いるだろう。どんな個人でも敵に回さないのがビジネスの基本だと思うのだが、Amazonのビジネスセンスには疑問符を付けざるを得ない。
筆者はプライム会員だったが、解約した。そもそもプライム会員に申し込んだ覚えはないが、Amazonとの関係もあり、そのまま放置していたが、今回の件で心置きなく解約。過去に一度プライムビデオを見たことがあるが、つまらないのでその後は一度も見ていないし、Amazonで買い物もほぼしないのでプライム会費600円/月は無駄以外の何物でもない。物価高の今、一番最初に削減すべき出費だろう。AWSにも月々2万円ほど支払っていたが、閉鎖してAzureに移動した。Azureの方が安いことが判明したので、残りの1アカウントもAzureに引っ越し予定である。disりついでに言わせてもらうと、目黒のAmazon Japanのジャングルみたいな内装、なんだよあれ、気取ってやがら、けっ、である。十数年前に訪問しただけなので、今はどうなってるか知らんけど。
今後もリアル・ネット双方で名誉棄損にならない程度にAmazonをdisっていきたい。
Amazonが出品者に行った仕打ちは、巡り巡ってAmazonに帰ってくると気づくべきだし、そうなってもらたいと願うばかりだ。
これからAmazonが衰退するとすると、その原因は、ブルーオーシャンの市場を自らの規約で弾圧し、競争し烈なレッドオーシャンでの販売にこだわりすぎたこと、さらに新興のTEMUやヤフーなどの競合他社の存在を甘く見過ぎたことによるだろう。
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更新日2025年12月28日/登録日2024年10月06日